コーヒー小史
- イスラム教の修道者たちが コーヒーを最初に飲んだ。
豆を挽いてから水と一緒に煮ると飲物になるということが発見されるまで コーヒー豆は噛んで
味わうものでした。初めて飲まれたのはいつで どこなのかはナゾですが 15世紀にはイエメン
にコーヒー農園があったそうです。信憑性の高い古い記録によれば コーヒーを最初に飲だ
のは イスラム教の修道者たちだと考えられています。
スーフィー(イスラム教神秘主義)の修道者たちはコーヒーが眠気を払い 精神活動を促進
させること したがって祈祷に役立つことに気づきました。
やがてコーヒーを飲む習慣は都市部に広がっていきました。15世紀末までには コーヒーは
商人や巡礼の手でメッカに運ばれ ついにイスラム世界の隅々に行き渡りました。
それほど信心深くない人々にとってコーヒーは会話を盛りあげてくれるものとなり やがて
コーヒーハウスが登場します。
コーヒーハウスは集会所として人気を呼び 余興や音楽・ダンスまであって居心地のよい
雰囲気を醸し出していきました。しかし コーヒーは人を興奮させる作用もありますので
政治的論争や不穏なはかりごとの源だと噂されるようになり 宗教と世俗の支配者が
コーヒーを飲むことを反対し 腐敗堕落の温床だとしてコーヒーハウスを閉店に追い込もう
としました。コーヒーはイスラムの戒律で禁じられた飲物だという主張が まことしやかに唱え
られていましたがコーランにはそんなことは書かれていません。
一方 女性は公衆の前に姿は見せないものの男性同様に味を覚え 家の中で家族や
友人と楽しんでいました。
- 17世紀イスタンブールからヨーロッパに伝えられ大反響
コーヒーは17世紀 コンスタンチノーブル(現在のイスタンブール)からヨーロッパに伝え
られました。1615年イタリアの旅行家ピエトロ・デラ・パレは黒い飲物として「夏飲めば
涼しく冬飲めば温まります。トルコ人は仲間とともにゆっくりすすっていた」と述べています。
「さらにそれはカーフェと呼ばれ アラビアに生える木の実あるいは種から作るものだと」
とも記録しています。その1年後 オランダ船がインド方面へ向けて航行している途中
イエメンの港モカに寄港し 船客のファン・デン・ブルック氏が奥地を旅してコーヒーを目に
しました。「黒い豆の一種で 彼らはその豆から黒い水を作り温めて飲む」と語ってます。
コーヒーをヨーロッパに持ち込んだ功労者はベネチア人でした。当初は薬屋で売られて
いましたが ほとんど知らずじまい。コーヒーハウスが店開きし 豆の煎り方や挽き方
スパイスや砂糖を加えて飲むことなどの情報が行き渡って 初めてコーヒーの存在が
認められるようになりました。
- カフェ第一号のフランソワ・プロコープは上流階級指向で大ヒット
コーヒーがパリにお目見えしたのは1657年。当初はコーヒーを入れて飲ませる小店や
露天商 祭の屋台などで売られていました。
本格的なカフェ第一号は 1686年にフランソワ・プロコープが開きました。
優雅なタペストリー 鏡 大理石のテーブルがしつらえられた上流階級好みで 人々は
そこに集まって噂話を仕入れたり コメディー・フランセーズの役者たちが集まったり
備え付けの新聞を読んだりしていました。やがてパリにはプロコープの真似をするものが
何百と現れます。
ウィーンやブタペストのコーヒーハウスはトルコ統治下にあったころの風俗から発展した
ものでした。コーヒーをあちこちに売り歩く露天商がここと決めて火を焚き始めると
あたりに人だかりができて 散髪屋が頭を剃ったり 字が読める人が珍しかった時代に
庶民に重宝された旅回りのストーリーテーラーがニュースやゴシップを話すといった光景
がよく見られたといいます。
ロンドンのコーヒーハウスの開店は1652年で1657年にはチャールズ2世が「国の
平和と静穏を乱す不満分子のたまり場」としてコーヒーハウスを閉店に追い込もうと
しました。確かにコーヒーハウスは政治・経済に絶大な影響を及ぼしました。銀行・
株式取引場・保険会社の老舗ロイドなど すべてがコーヒーハウスから生まれました。
当時の新聞記者もここに集い一座の中心となっていました。けれどもイギリスでの
コーヒーの流行は 新手の飲物紅茶にその座を譲り渡すのでした。
- 18世紀〜19世紀にかけて コーヒーの需要は飛躍的に広がっていく
アラブ民族は1世紀にわたりコーヒー交易の独占権を守ってきましたが 1690年に
オランダが乗り出してきました。すでに東洋からスパイス交易を取り仕切っていた
オランダはコーヒーの苗木をジャワに植え付けるのに成功しました。
やがて東洋のオランダ植民地全体に続々とコーヒー農園が設けられ 1750年代には
年間1400キロのコーヒーがアムステルダム向けに送り出された。
現在はわたしたちの飲むコーヒーはブラジル・コロンビア・コートジボアールを筆頭に50
あまりの国々が年間6万トンを産出しています。
店主の独り言
かなり難しく書かれていますが ようするに現在も昔ながらの形態(露天商=移動カフェ)
で道具(足からクルマでの移動)で都内等人の集まるところでは流行っているし カフェを
利用する人たちの目的も変わっていない。コーヒーの抽出も現在の水出しコーヒー・
サイフォン・パーコレーター等が流れを汲むものである。
唯一 変わったと言えばファミリーレストラン・スターバックス等が台頭し 文化性・社交性を
重んじる方が減少し 昔の権力者に変わり利用者の減少がカフェ文化を衰退させている
という事実かもしれない。
成美堂出版 おいしい珈琲の事典より資料抜粋。
